2010年6月30日

【コラム】教育コンテンツも所有から利用へ - 内田洋行が描く教育とICTの融合スタイル

教育コンテンツも所有から利用へ - 内田洋行が描く教育とICTの融合スタイル

教育の現場では、先生の日常業務が忙しく、電子黒板の操作を覚えたり、教材を作成したりする時間が取れないという状況があるそうです。ひどい場合は、せっかく納入された電子黒板が、そのままホコリをかぶっているとか…。

そのような状況を考えると「教育クラウド」のようなものは、やはり必要でしょうし、主流になっていくと思います。
デジタル教科書や電子黒板がすべての学校の納入された後は、このようなコンテンツを提供する会社が、教育関連の業界では主流になるのでしょうね。

2010年6月23日

教育の情報化に関する懇談会(第6回)を傍聴してきました

昨日、文科省の主導で開催されている「教育の情報化に関する懇談会」の第6回目が行われました。
事前に申請すれば傍聴可能なので、今回は会場に行ってきました。
ちなみに、毎回インターネットでもライブ中継がされています。

内容や資料については、追って文科省のHPで公開されると思いますので、ここでは自分が気になった部分だけを取り上げます。
(追記:公開されました

会場で配布された資料のなかに、参考資料として「平成21年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」(速報値 平成22年3月現在)というものがあり、全国の公立学校を対象にして行った調査結果が詳細に掲載されています。
その中に「電子黒板の整備状況」という項目があり、現在の電子黒板の納入状況が細かく記載されていました。
詳細は以下の通り。


【納入台数】(平成22年3月31日現在)
約56,000台

【タイプ別内訳】
・テレビ一体型:24,000台
・ボード型:11,000台
・ユニット型:21,000台


想像していたよりも納入が進んでいる、というのが正直な感想です。
ちなみに、文科省のデータによれば、平成21年度の全国の公立・私立を含めた小学校・中学校の学級数は約40万なので、そこから類推すると、だいたい10%程度の教室に電子黒板が納入されたと考えていいのではないでしょうか。
学校単位で考えると、おそらく1校につき1台~2台程度は納入された、というのが実態に近い感じがします。
納入数が伸びているとはいえ、まだまだ全生徒が電子黒板で授業を受ける、という形には道のりは遠いですね。

【ニュース】「iPad」を授業に活用 小学校1校で試験導入

「iPad」を授業に活用 小学校1校で試験導入 武雄市が秋以降に

小学校で、しかも公立の学校での導入が決定されたのは、初の事例だと思います。
主に英語の授業での利用のようですが、どのように活用されて、その結果がどうなるのか、非常に興味があります。


2010年6月22日

【ニュース】パナソニック 教育向け電子黒板 「エリート パナボード」 2機種を発売

教育向け電子黒板 「エリート パナボード」 2機種を発売

主な特長として、以下の3点が挙げられています。
1.3人同時に指で触って操作できる新開発のタッチパネルを搭載
2.7色電子ペンと指でのタッチでスムーズな操作ができる
3.英語の発音や音楽などの音声出力ができるステレオスピーカーを標準搭載


3人同時操作はまだどのメーカーも対応していないので、新しいですね(3人同時に使う用途がどれだけあるのかは分かりませんが…)。
実物を見ていないので何ともいえませんが、商品説明を読むと7色電子ペンはダイヤル式で切り替えるようなので、操作の好みが分かれそうです。
ステレオスピーカーが標準装備なのは使い勝手がいいと思いますが、2W+2Wの出力だと、教室で使用する際は若干物足りないかもしれません。

近いうちに実物に触れて確認したいと思います。

2010年6月15日

【ニュース】急増 電子教科書、小学校用1点から28点へ

急増 電子教科書、小学校用1点から28点へ

日本の教科書会社も、デジタル教科書に本格的に取り組む方向のようです。
予想以上のスピードで、数年先にはデジタル教科書が実現するかもしれません。

【ニュース】マイクロソフト、ICT活用による人材育成で横浜市・横浜市教育委員会と連携

マイクロソフト、ICT活用による人材育成で横浜市・横浜市教育委員会と連携

マイクロソフトがものすごい勢いで教育界に進出してきています。
確かに、生徒に関するさまざまな情報をクラウド化して一元管理できれば、先生の業務も楽になりますし、それぞれの先生の持っている情報を総合して、多角的なアドバイスができるようになるかもしれませんね。

2010年6月14日

【ニュース】マイクロソフト 小・中学生、高校生など子どものPC利活用促進に向けた取り組み強化

小・中学生、高校生など子どものPC利活用促進に向けた取り組み強化

21世紀を生きていくにはITに関するリテラシーは必須とならざるを得ないのでしょうね。
これからの時代を生きる子供たちは、PCが使えないと「おちこぼれ」と言われてしまうのかもしれません。

【ニュース】韓国「iPad教科書」2013年にも実現へ

「iPad教科書」2013年にも実現へ


韓国は国レベルの決断・実行が早いですね。
デジタル教科書の分野では、日本の方が完全に後れをとってしまいそうですね。

【コラム】ここにもiPadの衝撃、「電子教科書」が書店を殺す?

ここにもiPadの衝撃、「電子教科書」が書店を殺す?

記事にある通り、iTunesで音楽をダウンロードして購入するようになった結果、CDショップがつぶれていったのと同じ現象が、地方の書店で起こる可能性は大きいですね。

2010年6月8日

【コラム】電子教科書はどうなるのか

以下の記事を興味深く読ませていただきました。

出版社が早急に実現すべき電子教科書とは

自分も、紙の教科書にこだわる出版社の未来は決して明るくないと思いますし、記事の中で提案されているような電子教科書が実現できればいいな、とは思いますが、実際はむずかしいと感じています。

その理由として、以下の4つが挙げられます。
1.教科書会社にデジタルコンテンツを作る能力があるのか?
2.教科書の制度上の問題を乗り越えられるのか?
3.デジタル教科書の収益モデルはどうなるのか?
4.民主党政権下で教育改革ができるのか?


1.教科書会社にデジタルコンテンツを作る能力があるのか?
そもそも教科書会社は「出版物」としての教科書を製作することについては当然プロですが、「デジタルコンテンツ」という発想からの教科書を作成するに当たって、どこまで能力があるのか疑問を感じています。
現在でもデジタル教材と呼ばれるものは各社から出ていますが、紙媒体の教科書をそのままデータで見れるようにして、若干ビジュアルを良くしたり、音声をつけてみたり、といったことをしている程度です。
デジタルであることの特徴を生かした、生徒の興味を引き付けるような「コンテンツ」としての作り込みは、やはりそのような能力に長けたIT系の企業が製作するようになるのではないでしょうか?


2.教科書の制度上の問題を乗り越えられるのか?
海外とは違い、日本の教科書には独自の制度があります。
問題となるのはおそらく「学習指導要領」と「教科書検定」ではないでしょうか。
学習指導要領は、文科省が定める学校教育の基準となるもので、教科書の内容にも強い影響を与えます。どの学年で何の教科を何時間教えなければいけない、などと細かく基準が決められています。
また教科書検定は、民間の会社が製作した教科書について、文科省の諮問機関である「教科用図書検定調査審議会」で内容が吟味され、その上で文科省大臣の検定を受けるという手順をふみます。正式な認定が下りたものしか教科書として使用できません。
このようにさまざまな制約が多い中では、デジタルの良さを生かした魅力的な教科書が生まれにくいと考えます。


3.デジタル教科書の収益モデルはどうなるのか?
現在、教科書は無償で配布されています。
当然ですが、教科書製作会社がボランティアで行っているわけではないので、政府が教科書製作会社から買い上げ、それを無償配布するという形をとっています。
平成17年度の資料ですが、「義務教育教科書無償給与制度について」によると、年間の予算は399億円、生徒数は1089万人となっています。
また、「文科省の教科書Q&Aによれば、教科書の発行状況は、小学校用を例にすると以下のようになっています。

発行種類:51種
発行点数:293点
需要冊数:約7214万冊
発行者数:15社

単純に需要冊数を発行点数で割ると、教科書1冊当たりの平均発行部数は約25万冊。これはそれぞれの教科書がちょっとしたベストセラー程度の部数があるということになります。

さて、これがデジタル教科書になると、どのような形になるのでしょうか?
総務省は以下のような方針を打ち出しています。

・生徒全員にデジタル教科書を配布する(原口ビジョン
・ICTを使った協働教育を実現する(原口ビジョンⅡ

そうなると、国レベルで運営される「教育クラウド」と称されるWEBページに、それぞれがタブレットPCのようなものを使ってアクセスし、授業を行うようなイメージになると思います。
おそらくですが、教科書はデジタルコンテンツになっても生徒に対しては無償のままでしょう。そうすると現在と同様に政府が買い上げる方向になると思いますが、クラウド形式になると、極端な話、コンテンツを一つ買い上げればいい、ということになります。
現在の紙媒体の教科書が1冊数十万部発行していることを考えると、教科書会社の売り上げは激減するかもしれません。
このあたりの収益モデルにある程度見通しが出ないと、教科書会社は本気になってデジタル教科書を製作しようとは思わないかもしれません。


4.民主党政権で教育改革ができるのか?
現在の民主党政権下で、教育改革ができるか、という問題もあります。
なぜなら、民主党の支持基盤として「日教組」の存在があるからです。
制度自体の是非は別として、民主党は昨年夏の政権交代直後に、教員免許状更新制度の廃止を打ち出しています。このような状況を考えると、日教組から反発される可能性のある改革はむずかしいと思わざるを得ません。


なんだか否定的なことばかり並べてしまいましたね…。
それでも子供たちがワクワクして授業に取り組めるような、質の高いデジタル教科書ができること願っています。

2010年6月7日

【ニュース】ICTを利活用した協働教育推進のための研究会(第1回)配布資料

先日開催された「ICTを利活用した協働教育推進のための研究会」(第1回)の資料が、総務省のHPで公開されています。

ICTを利活用した協働教育推進のための研究会(第1回)配布資料

傍聴可能だったので申し込みをしたのですが、残念ながらもれてしまっていたので、資料が公開されたのはうれしいです。

この研究会の目的は、以下のように明記されています。

教育分野におけるICTの利活用を促進し、ICTを使って児童が教え合い、学び合う「協働教育」を推進するため、総務省が別に実施する『東日本地域におけるICTを利活用した協働教育の推進に関する調査研究』、『西日本地域におけるICTを利活用した協働教育の推進に関する調査研究』及び『教育分野における情報化の先進事例等の実態調査』を踏まえ、協働教育を実施するためのICT環境の構築や授業での具体的なICTの活用方法、協働教育プラットフォーム(教育クラウド)の活用方法などについて検討し、ICTを利活用した協働教育推進のためのガイドライン(手引書)を策定することを目的として、本研究会を開催する。

要するに、
・ICTを使った「協働教育」(生徒同士が学びあう教育)を推進しましょう
・今年度は東日本、西日本であわせて10校のモデル校ができるので、その調査を行いましょう
・具体的な活用方法を検討して、ガイドラインを決めましょう
ということになると思います。

個人的には、今年度10億円の予算がついたモデル校で、どのような結果が出るのかについて興味を持っています。

【ニュース】韓国 来年から小中高で電子教科書、政府教科書先進化案

韓国 来年から小中高で電子教科書、政府教科書先進化案


IT関連については、日本よりも韓国の方が、環境を整えるのが早いですね。
それにしても、全世界的に教科書のデジタル化が、ものすごい勢いで進んでいますね。

【ニュース】電子教科書の米市場シェア、2014年に18.8%へ

電子教科書の米市場シェア、2014年に18.8%へ - ハード充実と低価格が推進


電子教科書は普及が進んでいるイメージのあるアメリカでも、現在は約1%程度なんですね。
日本でも予想以上のスピードで、教科書の電子化が進みそうですね。

【ニュース】14インチ x 2画面のおばけタブレットKno

14インチ × 2画面のおばけタブレットKno


やはりipadに続くさまざまなタブレット型のものが出始めましたね。
14.1インチの画面が2枚というのは大きくて見やすそうですが、重量が2.5kgというのはちょっと重くて使いづらいかもしれません。

【ニュース】マイクロソフト、子どものPC活用促進活動を強化、まずは韓国水準目指す

マイクロソフト、子どものPC活用促進活動を強化、まずは韓国水準目指す


マイクロソフトの教育分野への進出は本気ですね。
単純にPCの所有率だけで比べると、日本は5.0人/1台、韓国は2.4人/1台となるそうです。
日本は携帯が独自の進化をしたので、若者はPCの必要性をあまり感じていないのかもしれないですね。

2010年6月3日

【ニュース】「1人1台のタブレットPCで日本の教育が変る」、MSが子どものPC利活用を促進

「1人1台のタブレットPCで日本の教育が変る」、MSが子どものPC利活用を促進

昨日のインテルの記事もそうですが、続々とPC関連企業が教育分野に進出していますね。
マイクロソフトとしても、始めて使うオフィス系のソフトが自社のものの方が、将来社会人となった時に使い続けてくれる可能性が高いですし、先行投資という考えもあってのことだと思います。

やはり「デジタル教科書」を1人1台持つようになる時代は、想像しているよりも早く来そうですね。

2010年6月1日

【コラム】なぜいま「21世紀型スキル」の教育が必要なのか? - インテルに聞く

少し古い記事ですが、先の和歌山県の記事に関連して、インテルつながりということでご紹介します。

なぜいま「21世紀型スキル」の教育が必要なのか? - インテルに聞く


インテルの提唱する「21世紀型スキル」として、以下が提唱されています。
 ・批判的思考力(批評精神を持って考える力)と問題解決能力
 ・コミュニケーションとコラボレーションの能力
 ・自立的に学習する力
 ・ICT(情報通信テクノロジー)を確実に扱うことのできる能力・スキル
 ・グローバルな認識と社会市民としての意識
 ・金融・経済に対する教養
 ・数学、科学、工学、言語や芸術といった分野への理解を深めること
 ・創造性

これを読むと、これからの時代を生きる子供たちは大変だなと…。

国内の議論では電子黒板や電子教科書といった「ハード面」にばかり注目が集まりがちですが、その前に「どのような教育が必要なのか」という根本的な部分を問い直すことが必要だと感じます。

【ニュース】和歌山県から始まる"ICT活用授業モデル"の構築

和歌山県から始まる"ICT活用授業モデル"の構築


あまり大きく取り上げられていませんが、和歌山県はかなりICT教育に力を入れています。
個人的には生徒に配布される「インテル クラスメイトPC」に興味深々です。